[桜宮高入試中止] 生徒の夢踏みにじるな!
2013年1月20日(日)
大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒が顧問から体罰を受け自殺した問題で、橋下徹市長が体育科とスポーツ健康科学科の入試を中止するよう市教委に求めた。両学科の定員120人は普通科に振り替えればいいという。
願書の締め切りは2月13、14日に迫っている。試験直前の大事な時期に進路変更を余儀なくされる受験生の不安や精神的苦痛は想像に難くない。市教委の責任ある判断を求めるとともに、橋下氏は直ちに撤回すべきだ。
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「体罰や自殺の実態解明ができておらず、体育系学科の新しい教育方針が決まっていない現状では絶対に受験生を受け入れることはできない。混乱したままで募集を続けると『大阪の恥』」とまで言い切った。
確かに体罰のあったバスケ部やバレーボール部の問題を放置したまま、学校運営を続けることは許されない。当事者の厳しい処分と廃部も視野に入れた断固とした措置は必要だ。とはいえ、その結論と決着を待たずに入試中止の判断を下すのは拙速というほかない。
橋下氏はそれでは普通科に切り替えればいいと主張するが、受験生の心情と実態をくみ取った発言とは到底思えない。大阪一円からスポーツ系学科のある同校を目指して努力している中学生の希望を踏みにじることは決して許されない。受験生に罪はない。
橋下氏の考えは入試中止要請にとどまらず、校長と教員全員の異動要求、市立から府立への移管提案とエスカレートしている。教員を総替えして、場合によっては学校そのものもなくしてしまえと言わんばかりの勢いである。
体罰を容認し黙認してきた教師をこぞって転勤させれば、問題の当事者と現場がなくなってしまい学校の再建はおろか実態解明すらおぼつかなくなる。これではトカゲのしっぽ切り、臭い物にふたと批判されても仕方はあるまい。
混乱に拍車を掛けているのは、市政の最高責任者として予算執行権を盾にした橋下氏の発言だ。入試を中止しなければ予算を止めるとけん制し、教員の異動でも最低限、体育会系クラブの顧問が残っていれば体育教師分の人件費は執行しないという。
だが、市のトップといえども教育行政に極端な考えをもって口を出すのは好ましくない。学校現場の問題と混乱は学校と市教委自らが対処すべきであり、それでも困難な場合には第三者の力を借りて解決策を探るのが筋である。
こんな乱暴な発想の市長は即刻、辞職していただきたい。